作法

お遍路巡りの際に知っておくべき作法があります。

■食事の作法

真言宗には「食事作法(じきじさほう)というものがあり、食事の前後に下記の言葉をお唱えします。

・食前合掌

一滴の水にも天地の恵みがこもり、
一粒の米にも万人の苦労がかけられています。
一つ、
私たちは天地自然や、あらゆる人々の恩恵によって生かされていることを感謝いたします。
二つ、
この食事いただくに値するよう、人の為世の為良い行いをしているか反省します。
三つ、
過ちや不幸の根拠である、貪(むさぼ)りや、噴(いかり)や愚痴(ぐち)を捨てます。
四つ、
心身の飢渇(うえ)をいやし、生命を保つ良薬と思い食物の不平を言いません。
五つ、
仏の道に精進し、円満な人格を作ります。
いただきます。

・食後合掌

今有難き食を受く、心身をいたずらに浪費することなく
世の為、人の為活動せん。
ご馳走さま。

■お遍路の作法・しきたり

・宿ではまず、金剛杖を洗いましょう

金剛杖は大師の分身ですので、大師の足を洗う気持ちで心をこめて洗いましょう。

・橋の上では杖をついてはいけません

大師が十夜ヶ橋の下で修行なされた故事にちなんで橋の下では大師がお休みになっていると言われています。言い伝えによれば、お大師様が四国を巡錫中この地で日暮れを迎えましたが、周囲は田園で、宿泊場所となる民家が見あたりませんでした。
お大師様は小川に架かる橋を見つけ、仕方なくその橋の下で一夜を過ごすことにしましたが、暗く長い一夜が十夜にも思えたそうです。そこで、『行き悩む浮世の人を渡さずば 一夜も十夜の橋とおもほゆ』という歌を詠んだといわれています。
この言い伝えから、四国遍路などでは、お大師様が安眠できるよう巡礼者はこの橋に限らず橋の上では杖をつかないという習慣があります。

・相互礼拝、相互供養

他の同行に会ったときは「南無大師遍照金剛」と唱え挨拶をかわしましょう。

・参拝後に鐘を撞いてはいけません

境内での堂宇を参拝した後に打つ鐘は、金が出るとか死者を送るときに打つといった縁起の悪いことから、参拝後に鐘は撞かないといわれています。

・心より祈り般若心経などを唱える

本堂・大師堂では、両手を合わせて心よりお祈りし、灯明、線香お賽銭をあげます。さらに般若心経やご真言、またご詠歌などを唱えましょう。